PHP言語を用いたソフトウェア開発やコンサルティング、エンジニア育成といった教育事業などを手がけるアシアル株式会社。同社は、2012年9月、プログラミング初心者向けのPHP技術書『イラストでよくわかるPHP はじめてのWebプログラミング』の発行に際し、告知のためのソーシャルメディア連携キャンペーン「『イラストでよくわかるPHP』出版記念アシアルキャンペーン」を実施した。
キャンペーンサイト構築には、「Lekumo キャンペーンビルダー」が採用され、短期間でのキャンペーン実施を可能にするSaaS形式ならではの強みが発揮された。同社取締役の塚田亮一さんとマーケティング部の田村智之さん、書籍を執筆した同スクール事業部の岡本雄樹さんにお話をお伺いした。
書籍発行の告知とカンファレンスのブース盛り上げを目的にキャンペーンを実施
「Lekumo キャンペーンビルダー」は、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアと連携したキャンペーン実施を強力に支援するツールだ。キャンペーンサイトの構築から、運用、効果測定、抽選・当選通知・個人情報収集までをカバーし、キャンペーン期間に応じてライセンスを購入することにより、すぐに利用することができるSaaS形式のサービスとして提供される。
同社のソーシャルメディア活用の現状について塚田さんは語る。「当社は自社メディアとしてのエンジニアブログ(アシアルブログ)が相当のトラフィックを担っています。エンジニアやデザイナーが持ち回りで執筆を担当するもので、新しい技術のレビューや制作テクニックの紹介などが主なテーマです(塚田さん)」。ブログが、Web制作に携わる技術者やデザイナーが同社を知るための導線になっている一方で、Twitterはアカウントを保有してはいるものの、それまで積極的な情報発信やコミュニケーションは行われていなかったという。
「キャンペーンは、書籍発行に併せて行おうと企画しました。書籍の内容はどちらかというとプログラミング未経験者向けの易しい内容です。当社はエンジニア向けのブログはありましたが、普段、技術書を読まないような層に情報をリーチさせるにはどうしたらよいかと考えた結果、Twitterを活用しようと思ったのです(岡本さん)」。また、リアルなイベントとの親和性という点もTwitter活用の大きなポイントになったようだ。「9月に『PHPカンファレンス』という技術者向けのイベントがあり、当社もブース出展を計画していたのです。そこで書籍発売のプロモーションを行うことにより相乗効果を狙いました(塚田さん)」。来場者のフォロワーに情報を拡散し、口コミ効果を期待するにはTwitterは格好のツールだったというわけだ。
「Lekumo キャンペーンビルダー」選定のポイントについてはどうだろうか。「キャンペーン機能を社内でスクラッチ開発することも考えましたが、キャンペーン実施までに時間がなかったことと、コスト面を考えて、トライアルですぐに利用できるLekumoに決めました。ツールを使って何ができるか、自分たちは何を準備すればよいかがすぐ分かりましたので、導入から構築までスムーズに準備することができました(田村さん)」。9月5日のキャンペーン開始に向け、8月下旬から1〜2週間程度の準備期間で企画からキャンペーンサイト構築が可能になったのは、Lekumo キャンペーンビルダーの優れたパッケージによるものだろう。
キャンペーン実施に必要な機能はビルトイン
キャンペーンの内容は、キャンペーンページで診断ゲームにトライし、診断結果画面からTwitterに投稿できるというもの。同社のTwitterアカウントをフォローし、応募ツイートを投稿したユーザーにiPadをはじめとするプレゼントが抽選で当たるという企画だ。「キャンペーンページの制作は、バナー画像などのデザイン素材をデザイナーにお願いし、HTMLとCSSについては基本的に自分が一人で担当しました。管理画面上でテンプレートが用意されているので、キャンペーン機能を作る際にプログラミングは必要なく、テンプレートの設定で対応が可能だったのでありがたかったです(田村さん)」。
診断テストや、応募ツイートに含まれる文言(書籍名やキャンペーンサイトへのリンク、社名、プレゼント内容など)はLekumoの管理画面上で容易に設定が可能なので、制作者は、設問内容や診断結果の解説文、ツイート文言などの企画に注力することができる。「キャンペーンページはモバイルに対応したレスポンシブデザインで、デスクトップ版、スマホ版のCSSがテンプレートで準備されているのでモバイル対応も容易でした。また、利用規約が揃っているのも嬉しい機能ですね(田村さん)」。キャンペーン実施のために必要な機能がすべて用意されている点もLekumoの大きな優位性の一つといえる。
スマホ向けキャンペーンページ。レスポンシブデザインでモバイルにも対応している
フォロワー数は約3.8倍に増え、リーチユーザーは100万人を超えた
キャンペーンは9月5日から9月30日までの26日間で、同社のTwitterアカウントのフォロワーは242名から938名に増加した。「PHPカンファレンスを盛り上げたいというのと、書籍の情報を知ってもらうというのを目標に行いましたが、思った以上にフォロワーが集まるものだなというのが正直な感想です(塚田さん)」。1,200件を超える応募ツイート数、リーチユーザー(フォロワー経由で情報が拡散したユーザー数)は100万人を超えた。「イベント会場で来場者に参加してもらうのに、Twitter連携のキャンペーンは有効だと感じましたね。当社のブースにてポスターを掲示して告知し、会場で参加してくださった方にはその場で参加賞(レッドブル)をプレゼントしたのですが、ブースも盛り上がりましたし、従来の名刺交換やアンケート回答といったアプローチに比べて、来場者と積極的にコミュニケーションが取れるというメリットがあると思います(岡本さん)」。
デスクトップ、スマホのアクセス比率は、検索サイト経由はデスクトップが、カンファレンス会場ではスマホがメインだったようだ。管理画面の使い勝手について田村さんは語る。「全体的に分かりやすく、管理画面の操作で特に困った点はありませんでした。スマホ用のCSSを編集中に細かいレイアウトで手間取った部分もありましたが、問題はそれくらいだけで、CSSについて素人レベルの自分でも問題なく使うことができました(田村さん)」。
では、キャンペーンを通じて想定と違った点はどんなところだったのだろうか。「キャンペーンページには、検索サイトからダイレクトに遷移してもらう導線を想定していました。しかし、『アシアル キャンペーン』といったキーワードで検索しても最上位に表示されない点が想定外でした(塚田さん)」。キャンペーンについて告知した同社のブログ記事が最上位に表示されたため、参加者には、検索サイトからブログを経由してキャンペーンページへ遷移してもらう流れとなったそうだ。言い換えれば、それだけブログのSEO効果が高かったということだが、イベント会場などでスマホを使って参加してもらう場合に、検索サイトを経由しなくてもダイレクトにキャンペーンページにアクセスできるような方法があればよいと課題についても言及してくれた。
リアルとネットを結びつけるコミュニケーションツールとして
Lekumoを使った今回のキャンペーンを総括していただいた。「書籍の告知とカンファレンスのブースの盛り上げという当初の目的は達せられました。売上にどの程度貢献したかを検証するのは難しい部分がありますが、Twitterのフォロワーも増え、書籍発売の情報はそれなりに知ってもらえたという感触を持っています(塚田さん)」。
今後の機能面での要望について田村さんは以下のように語る。「Facebookの規約の問題もあるので難しい面もあるとは思いますが、Facebookにシェアしてくれた人がどの程度いたかという結果が管理画面から閲覧、集計できると便利だと思いました。あと、ライセンス失効後はキャンペーンページが消えてしまうので、たとえば、終了ページなどが表示されると期間後にアクセスしてきた人に情報を伝えることができるのではないかと思います(田村さん)」。
最後に、今後の同社のキャンペーンの進め方、あり方についてお聞きしてみた。「Twitterというツールは、スマホで、リアルなイベント会場などで気軽に参加するというのに便利だというのが良くわかりました。弊社のネットコミュニケーションという意味では、アシアルブログが主な導線となっています。今後は、リアルな場でのコミュニケーション活性化のためのツールとして、Twitterを用いたキャンペーンを活用していけたらいいなと考えます(岡本さん)」。ネットとリアルを結びつけるTwitterの特性をより発揮できるよう、Lekumoの更なるバージョンアップに期待したい。
事例データ
- アシアル
- イラストでよくわかるPHP はじめてのWebプログラミング入門
- Lekumo キャンペーンビルダー
- キャンペーンを実施したのは:2012年9月
- Lekumo導入の理由:スクラッチ開発に比べ短期間、低コストでTwitter連携キャンペーンが実施できる点
- 導入を担当したのは:社内マーケティング部
- どのような手ごたえがありましたか?:Twitterのフォロワー増加(242名から938名)、リーチユーザーは100万人を超え書籍発行の情報拡散に寄与。ブース出展していたイベントも活性化した