Movable Type ヘルプ: システムを導入する前に

システムを構成する場合は、システムの目的やそれに伴うセキュリティ要件を整理した上で行います。以下に代表的な例を紹介します。システム設計を行う上で考慮する項目は、以下のものがあります。

システム構成

Movable Typeは、次の要素で構成されます。

「エントリー公開用ウェブ・サーバー」は、投稿されたエントリーをウェブ公開するサーバーです。「コメント/トラックバック受付用ウェブ・サーバー」は、公開されたエントリーにコメントやトラックバックを受け付けるためのCGIプログラムを実行するサーバーです。公開されたエントリーを検索するためのCGIプログラムも実行します。「管理用ウェブ・サーバー」は、エントリーを投稿したり、ブログやシステム全体を管理できる管理CGIプログラムを実行するサーバーです。XML-RPC/Atom API等を経由してエントリーを投稿、編集するためのCGIプログラムも実行します。最後の「データベース・サーバー」は、エントリーやコメント等全てのブログデータを保管しています。Movable Typeは、このデータベース・サーバーからデータを取得してウェブ・ページを出力します。

システムを構成する場合は、システムの目的やそれに伴うセキュリティ要件を整理した上で行います。以下に代表的な例を紹介します。

部門レベルのイントラネット利用

部門レベルのイントラネット利用では、「運用管理に関する負担を最小限に抑えたい」という要件が一番大きいでしょう。また、社外からのアクセスは行わないことも想定できます。このような環境では、全てのサーバー機能を同一のサーバーに配置して利用します。

小規模構成:部門単位での利用例

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特長:Movable Typeとデータベース・サーバーを同一サーバー上に配置します。

オフィスレベルのイントラネット利用

複数の部門が、各自でサーバーを構築して利用する形態になると、当初より運用管理の負担が大きくなります。これは、サーバー台数が複数台になることで、特にデータベース・サーバーの運用管理の負担が高まるためです。このような環境では、データベース・サーバーのみを別の配置にすることで解決できます。データベース・サーバーを1台に集約するだけでなく、各部門のブログデータを1つに集約することで、さらに運用管理の負担を軽減できます。

中規模構成:オフィス全体での利用例

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特長:Movable Typeとデータベース・サーバーを個別のサーバー上に配置します

導入の時点で、複数の部門での利用が想定できる場合は、データベース・サーバーを分離した方がいいでしょう。

セキュリティも考慮したトータル利用

社外からのアクセスを可能にしたり、取引先とのコミュニケーションを考慮すると、セキュリティに対する要件が高まってきます。また、従来よりアクセス量が増えてくることも想定されます。このような環境では、エントリー公開用ウェブ・サーバーを個別のサーバーに配置します。また、取引先からコメントの投稿を許可する場合、エントリー公開用ウェブ・サーバーに加え、コメント・トラックバック受付用ウェブ・サーバーをファイアーウォールの外側に配置します。この際に、環境設定ファイル「mt-config.cgi」の〈CGIPath〉ならびに〈AdminCGIPath〉を個別に設定します。

大規模構成:会社全体での利用例

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特長:Movable Typeとデータベース・サーバーを個別のサーバー上に配置します。エントリーを公開する「公開サーバー」と、エントリーを投稿する「管理サーバー」を個別に配置することで、セキュリティを高めることができます。公開サーバーやデータベース・サーバーを2重化することで、システムをより強固に、よりセキュアに構築できます。

さらなる高速化を実現するために、Apacheウェブ・サーバーでのPerl高速化技術の1つである「mod_perl」を採用することもできます。mod_perlを使った高速化については、別節を参照してください。

ネーミング標準

Movable Typeは、簡単に導入でき、導入したその日からその効果を実感できます。導入する前に、様々な標準化(ルール)を行うことで、ストレスフリーのシステム構築ができます。

パーマリンク

個々のエントリーが、固有の永続的なURL(パーマリンク)を有している点は、ブログの特長の1つです。通常、このURLは、メール、ポータル、検索の結果等で使われるため、わかりやすいURLにすることはとても重要です。Movable Typeでは、ブログ毎に事前に設定したルールに従い、このパーマリンクを自動生成します。

パーマリンクのルールを策定するときには、「いつ、誰が、何について書いたエントリー」なのかをURLに含めることを検討するといいでしょう。次の例のように、「何について」という情報をカテゴリーにマップすることで、いつ、何について書いたエントリーなのかURLから理解できます。

<各ブログのサイトURL>/<カテゴリー>/<投稿日時>.html

パーマリンクのルールの設定方法は、別節を参照してください。

アーカイブ

アーカイブは、既に投稿されたエントリーをどう整理してウェブ公開するかという設定です。通常、アーカイブは以下のように設定されています。

  • 個々のエントリーのアーカイブ、カテゴリー別のアーカイブ、月別の日付アーカイブが出力される
  • アーカイブはスタティックなHTMLとして出力される

最初に、どのようなアーカイブが必要なのかを整理し、各アーカイブのURLの出力フォーマットについて検討します。一般的には、カテゴリーを使ってエントリーを整理するので、カテゴリー別のアーカイブは必要です。日付アーカイブの場合、アーカイブに属するエントリー数によって、どのアーカイブを出力するか決めるのがよいでしょう。例えば、エントリー数が大量の場合、月別だけでなく週別/日別のアーカイブを出力する。逆に、エントリー数が大量でない場合は、月別と週別のアーカイブを出力する、といった使い分けをします。このようなアーカイブの設定は、個々のブログの設定画面内のアーカイブ・マッピングの機能で設定できます。

キーワード

読者が目的のエントリーを探す手段の一つに、検索があります。Movable Type Enterpriseの検索機能は、エントリーのタイトルや本文のほかに、エントリーの入力画面で設定できる「キーワード」も検索の対象にします。キーワードはエントリーに表示されません。エントリーのタイトルや本文に含まれない単語をキーワードに設定することで、エントリーの検索効率を高めることができます。

タグ

カテゴリーやキーワードは、パーマリンクと同様にエントリーに対して永続的に整理する仕組みとして活用できます。しかし、これらだけでは情報の整理の仕組みとしては不十分です。ある製品に関する営業報告書を例に解説します。

通常、営業報告書には、日時や営業担当の氏名や報告内容のほか、製品名や営業先の会社名、商談の状況の情報もあります。部門や目的によっては、この製品名やお客様の名前、状況などをキーにしてアクセスできると便利です。これらの情報は、時間によって状況が変わったり、件数が多くなるため、カテゴリーとして登録すると、管理が煩雑になってしまいます。これを解決できるものが「タグ」です。

タグは、商品につける値札タグのように、個々のエントリーに対して自由に付与できる情報です。例えば、書類などを入れておくファイリング・フォルダーの見出しを「カテゴリー」とすれば、ファイリングされた書類につける付箋紙を「タグ」とイメージすると、使い方が想像できると思います。

カテゴリー、キーワード、タグをどう使うかは、増えてくる情報(エントリー)を発見していく上で重要になります。システム構築の前にルール化することで、使い勝手が大きく変わってきます。

ユーザーURLと権限

Movable Typeでは、個々のブログを効率よく運営するために、ユーザーIDとそれに対する権限の組み合わせによる管理体系を提供しています。誰がどのブログに対して、何ができるのかを適切に設定することは、導入後の運用に大きく影響を与えます。

例えば、カテゴリーを複数のブログで共通化する場合、誰もがそのカテゴリーを追加/管理できると、混乱を与えてしまうことがあります。このような場合は、カテゴリーの追加/管理に関する権限を管理者以外に設定しないようにすることが重要になります。また、ブログのデザインを共通化したい場合も同様に、テンプレートのデザインやブログの設定を変更できないように設定します。

以上のように、権限の設定にルール化することで、運用管理を大幅に軽減することができます。


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