広報ブログ

シックス・アパートの広報より、社内のさまざまなトピックをお届けします。

今なぜ、ソーシャルメディアだけではいけないのか

こんにちは。シックス・アパートの関です。

先月末に、ソーシャルメディアを活用したい企業の方のためのソリューションとして、9月に発表していたLekumo(ルクモ)キャンペーンビルダーと、Zenback ADSの2つのサービスを発表しました。

すでにLekumo(ルクモ)については、ブランド名の由来などを広報ブログでご紹介しています(新ブランド「Lekumo(ルクモ)」発表までの舞台裏を公開!)。そこで今回はZenbackとZenback ADSについてご説明しながら、ソーシャルメディア全盛の今なぜ、ブログなどコンテンツメディア(オウンドメディア)や広告などのペイドメディアが大切なのかを、私たちの視点でお伝えしたいと思います。

ソーシャルメディアとコンテンツを結ぶ

Zenbackはもともと、2つのアイディアを実現するためのものです。1つは、ソーシャルメディアの中でも、とりわけリアルタイム・ウェブと言われるTwitterやFacebookのような流れてしまうメディアと、ブログなどのコンテンツメディアの連携を強化することです。具体的には、コンテンツ・ページに関して言及されたソーシャルメディアの情報を、コンテンツメディア上にウィジェットを使って表示したり、「シェアボタン」によりコンテンツメディアの情報をソーシャルメディアに流したりすることで実現しています。

そしてもう一つは、ソーシャルメディアと比べてネットワーク化されていないブログなどのコンテンツメディアを、コンテンツのコンテキストに応じてネットワークすることです。これは「関連記事」や「関連リンク」という形で実現しています。

ソーシャルメディアとコンテンツの関係性が高まる

実際、ソーシャルメディアをキッカケとして、コンテンツメディアを認知する機会は増えています。シックス・アパートで実施した、Zenback閲覧者を対象とした意識調査でも、「企業ブログを認知したキッカケ」として「ソーシャルメディア」と回答した数は、「検索エンジン」を上回っています(「ソーシャルメディアの商用利用に対する意識調査」結果を発表)。

この現象を理解するには、例えば、Zenbackを使っているサイトを考えてみるとよいでしょう。閲覧者がコンテンツを気に入ったときにZenback上の「シェアボタン」を押して、友人に紹介したとします。その閲覧者はそのままそのページを離脱してしまうかもしれませんが、シェアされたソーシャルメディア上でこのコンテンツ(へのリンク)を発見した他のユーザーが、ソーシャルメディアを介してこのコンテンツに到達する、という流れです。

いまなぜクラシファイドなのか

前述の意識調査の中で興味深かったのは、ユーザーの多くが企業が利用するソーシャルメディアに対して寛容であるという事実です。グーグルがAdWordsという広告を世に出したとき、従来型メディアの一部からは「関連性の高い広告を掲出するAdWordsはけしからん」という意見がありました。しかしインターネット・ユーザーの大多数は、自分にとって有益であれば広告であるかどうかはそれほど気にしない、ということを行動で示し、結果AdWordsは空前の大ヒット商品になりました。

Zenbackが10月から提供を始めたZenback ADS(アド)は、このような背景から生まれました。Zenback ADSで提供する表示枠は、「Zenbackクラシファイド」と呼ぶ3行広告のエリアです。3行広告は「売ります・買います」のような、主に個人が提供するお知らせ欄で、無料であることがほとんどです。実際、Zenbackクラシファイドは現在、Twitterをお持ちの方であれば、内容についての審査はあるものの、個人・法人を問わず、だれでも無料で掲載することが可能です(お知らせ欄リニューアル!Zenbackクラシファイドのつかい方)。

10月に提供を開始したZenback ADSは、このZenbackクラシファイドに掲載するお知らせのうち、日時を指定して確実に掲載したい、というニーズをお持ちの方のためのものです。

ソーシャルメディアと広告の"類似性"

ここで、冒頭で「ペイドメディア」と呼んだ、いわゆるオンライン広告の役割を考えてみます。オンライン広告と上記のソーシャルメディアの働きと機能的にはよく似ています。動機も多少は異なりますが、ソーシャルメディアによる共有も「自分が見つけたものを他の人にも知ってもらいたい」という動機であることが多いですし、広告にしても「自分たちが作ったもの/売っているものを他の人にも買ってもらいたい」ということで、どちらも「紹介(もしくは「シェア」)」するメディアと言えるかもしれません。

「ソーシャル偏向」と、バランス感覚

ただ最近の「ソーシャル万能説」は、ちょっと過熱しすぎな感があることは否めません。たしかにソーシャルメディアは広告と似ているため、特に企業のマーケティング部門の方々にとって、理解しやすいし扱いやすいメディアなのかもしれません。しかしインターネット上のマーケティング活動が、一部の企業によるものではなく普遍化している現在、特定のメディアに偏向した施策は、長期的にはあまりうまくいかないような気がします。

ソーシャルメディアやペイドメディアが、インターネット・ユーザーに対して提供する情報は、どんどん多くなっており、スマートフォンなどのデバイスの普及もあり、リアルタイムでどんどん情報が共有されています。そのため、TwitterやAdWordsは、非常にコンパクトな文字情報を提供して、ユーザーの関心を喚起しています。しかし、伝えないといけないコンテンツすべてが、こうしたコンパクトな形で伝えきれるわけではありません。AdWordsはそのすべてにおいて、リンク先にコンテンツメディアがありますし、TwitterやFacebookでも多くの「シェア」された情報にはリンクが含まれており、コンテンツ(内容)は別のサイトに用意されていることが一般的です。

最近ではFacebookやGoogle+のようなソーシャルメディア内に、企業がコンテンツを持てる「ページ」という機能が注目されています。これは「フロー」の情報に対して「ストック」の情報の流通に、ソーシャルメディアがあまり向いていないため、その補完のために提供されていると考えることができます。また、広告機能についても、FacebookやTwitterは提供しており、ソーシャルだけでは完結しないことを示唆しています。

つまりソーシャルメディアの中でも、その内部に「ソーシャルメディア」「コンテンツメディア」「ペイドメディア」を内包しようとしているわけです。

ただし、1つのソーシャルメディアの中で完結してしまうと、そのソーシャルメディア・サービスへの依存が強くなりすぎて、リスクが顕在化しがちです。例えば、FacebookやTwitterなどでは、予告なくサービスの仕様が変更されてしまったり、サービスそのものがなくなったりしてしまいます。またページが突然、使えなくなる(利用禁止になる)リスクも少なくありません。

ブログ再評価の動きが続々

最近、パネルディスカッションに出席させていただいた「マキコミの技術」の著者であるいしたにさんとコグレさんは、ブログ再評価(継続して書き続けることの力)の流れを推進しています([N] 「ソーシャルストリーム全盛時代だからこそ見直すブログ術 &一歩踏み出すマキコミ術」ご来場ありがとうございました!

ブログの草分け的なサービス「はてなダイアリー」を提供する株式会社はてなも、新サービス「はてなブログ」のベータ版を11月7日に公開。「コミュニケーションツールの分離によって、ブログの役割が、より明確になりました」と近藤社長も自身のブログで、ソーシャルメディアがインターネット上に広く行き渡った今だからこそ言えるブログの重要性を唱えています(なぜ今、ブログなのか - jkondo's blog)。

ソーシャルメディア全盛の時代の中、2012年のインターネットはどうなっていくのか。そして、その中でシックス・アパートはどのような役割を担うのか。来週12月2日に開催する「Six Apart Day 2012」では、基調講演を通じて、私たちの考えを披露する予定です。

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