ユーザーとコミュニケーションを活発していくことで、そこからうまく情報が取れる様になっていくと理想的ですね。
O'Reilly Village / オラの村
http://www.oreilly.co.jp/editors/
1995年よりインターネット・オープンソースを中心とした技術書を出版する株式会社オライリー・ジャパン。書店でインターネットの本を探したことのある人なら誰しも精密な動物の線描画を表紙を目にしたことがあるだろう。あの魅力的な一連の技術書、あれらはすべてオライリー・ジャパンの書籍である。O'Reilly Village / オラの村は、そのオライリー・ジャパン編集部のウェブログである。書籍情報・イベント情報をはじめとして、翻訳準備中の書籍の予告などもあり、英語版を買ってしまおうかと悩んでいるユーザーにも丁寧な情報提供を行っている。
RSS配信がウェブログのきっかけとなった
2004年5月にオライリー・ジャパンでは、オンライン・ショップシステムの見直しを実施。その際に新刊情報のRSS配信を同時に実施した。配信後、、該当書籍の情報を持っているオンラインブックストアにトラフィックが集まり、そこで情報を確認したユーザーがまたオライリー・ジャパンのサイトに情報を求めて戻ってくる。そういう現象がRSSの配信をきっかけに始まったのである。
「編集という立場では書籍が発売されると、そこで一端仕事としてはひと区切りという感覚ですね。でもRSS配信することで発売後に編集にももうひとつ次の仕事があるということを実感できたんです。」
特にそういった現象が如実に現れた書籍が『Blog Hacks』である。この書籍では扱うものがウェブログそのものであることもあり、販売前から情報が流れていた。その情報は数々のウェブログで前評判という形で流通していき、情報のラインとも言える様な筋道ができあがっていった。その後、予約受付の開始・実際のリリース・販売後の評判とその筋道には『Blog Hacks』に関する情報が次々と流れていくことになった。
「これまで行ってきた告知やキャンペーンと大きく違うのは効果が持続することで従来の方法では、ある時期を過ぎると情報はほぼ完全に流れなくなるんです。ウェブログによる評判の場合、一度筋道ができあがるとそこを伝って情報が広がっていくんです。」
オライリージャパン編集長の伊藤さん
編集部から積極的情報発信して行くために
RSS配信やウェブログの効果から、編集部のサイトにMovable Typeが選ばれたのは自然な流れだったと言える。編集部から発信される情報は主に新刊のリリースなどの営業的なものと、編集後記や企画といった編集的なものという2つのタイプに分けられる。更新については各セクションの判断の下に行われ、トップページにはその性格の違う2タイプの情報が同じ配分で表示される様に工夫されている。
「導入を決定してから約1週間でテストは終了しました。インターフェイスがアプリケーションとして作り込まれていることに感激しました。」
ユーザー配信されている情報の中には、既に販売されている書籍の中から、編集部としてユーザーに注目して欲しいものをピックアップしたものなど、これまでは編集部の外に出ることが少なかった情報も多く含まれている。
ユーザーとコミュニケーションを取っていきたい
現在、オライリー・ジャパンではアメリカで1年間に販売される原書約200点のうち、50点ほどの翻訳を手がけています。その翻訳から漏れている書籍約150点の中にも、実は多くのユーザーが求めているものがあるのではないか?、編集部では、その評価段階でパワーユーザーとコミュニケーションをウェブログを通じて取っていくことも検討している
「以前と比べると、オライリー・ジャパンで扱うジャンルはすごく増えていますし、これからも増えていくと思います。そうなると編集部だけですべてのジャンルの情報を網羅していくことは難しくなってきます。ユーザーとコミュニケーションを活発していくことで、そこからうまく情報が取れる様になっていくと理想的ですね。」
今後はユーザーを巻き込んだキャンペーンの実施も予定されている。元々コアユーザーの多いオライリー・ジャパンだが、編集部のウェブログを通じてますます多くのファンを獲得していくだろう。
オラ帽と翻訳中の本を手にするオライリージャパン編集長の伊藤さん
■事例データ■
・Movable Type3.0商用ライセンス
・ビジネスブログをはじめたのは:2005/1月
・はじめた理由:ユーザーへの情報発信
・制作を担当したのは:module.jp 小山浩之氏
・何か手ごたえはありましたか?:広告やキャンペーンとは質の違う情報の広がり