顧客の心をつかむ商品ディスプレイと効果的な運営で売り上げを伸ばす
「ヌウボーオンラインショッピング」は、六本木の街角で長年営業を続けている雑貨店「ヌウボー」のネットショップだ。インターネットとは縁遠かった同店だが、制作会社に運営までまかせることによって、販路拡大と売り上げ増加に成功した。その手法を支えるのが、Movable TypeによるCMSの導入だという。ウェブサイト制作を担当したイーストヴィレッジLLCの東山浩一さんにお話を伺った。
■CGMが実現した運営者1人体制
サイト運営の実作業はすべてイーストヴィレッジLLCが担当している。
「製品の写真撮影を行い、サイトに掲載する作業はこちらで行っています。また、商品の受注と発送も担当しています」。
イーストヴィレッジLLCの社員は社長も含めて3人だが、ヌーボーオンラインショッピングのサイト運営に関わっているのは実質1人。効率のよい更新システムがなければ、サイト運営は不可能だ。"CMSが必須"という当初の条件もうなずける。
ヌウボー側からすれば、全く人員を割かずにネットショップが運営できていることになるが、運営費用はどのような契約になっているのだろうか。
「月額の運用費用は定額制です。それにプラスして、売り上げの一定の割合を頂いています」。
定額制の場合、商品点数が増えると作業担当者の手間が増えて"割が合わない"という問題が起きる。逆に、作業ごとに細かく価格を設定すると、今度は発注者側が更新費用を抑えるために更新を控えてしまう可能性が生まれる。売り上げに応じて収入が増える契約にしておけば、双方の利益は「売り上げを伸ばす」という1点に集約する。「今は、定額の運用費よりも、売り上げ分から得られる収入のが大きいですね」というから、このシステムは成功だといえるだろう。
■SEOの効果を高める工夫
サイトを訪れるユーザーのほとんどは、予想通り検索エンジン経由だという。Movable Typeの使用によるSEOに加え、より効果を高めるような工夫もしている。
「ピンポイントで製品名を検索するユーザーが多いので、タイトルやメタ・ディスクリプションに自動的に製品名が入るようにしています。また、同じ仕様の製品でも、色が違う場合はそれぞれ別のページを作っています」。
SEOは、ページが多いほど効果が上がるといわれている。色別にページを作ればページ数を増やすことができるので、その効果も狙える。オープン当時商品数は100点=100ページ程度だったが、今では600点=600ページを超えるまでになった。さらに、それぞれ個別のページに分かれていれば、アクセス解析をするだけで、どの商品が人気なのかを簡単に知ることもできる。
「POSと同じような考え方ですね。解析してわかった傾向は、実店舗の実績と合わせて商品の入荷に反映しています」。
■新機能を取り入れて購買意欲を高める仕組みを実現
ヌーボーオンラインショッピングの特徴のひとつに、Movable Typeのバージョンアップにすばやく対応し、新機能を取り入れている点がある。2008年2月のオープン当初はMovable Type3.3でスタートしたが、バージョンアップを重ね、現在は最新のMovable Type4.2で運用している。この9月には、サイト全体のリニューアルも行った。
「オープンから半年が経過し、いろいろ変えたい部分も出てきたんですね。Movable Typeのバージョンを上げたこともありますが、デザインも大幅に変えました。アクセスしてくれたユーザーにブックマークしてもらうには、デザインはとても重要です」。
トップから製品ページに至る導線も設計しなおした。
「ツークリックで製品ページまでたどり着くのが理想ですね」。
製品ページには、似たような傾向を持つ別商品を「オススメ商品」として提案しているほか、関連商品一覧へのリンクも張ってある。検索で直接商品ページにアクセスしたユーザーに対して、購買意欲を高める仕掛けだ。
ここで役立っているのがMovable Typeの「タグ機能」だ。エントリー作成時にいくつもタグを設定しておき、それを検索キーワードとすることで、自由なグループ分けが可能になる。
オススメ商品にはタグ機能が利用されている。このほか、画像の拡大機能なども実装している
「タグを第二のカテゴリー的に利用しています。以前は思うままにどんどん増やしていたんですが、今はあらかじめ使う単語を決めて、統一するようにしています。たとえば、アロマキャンドルという商品がありますが、これにキャンドルと消臭という2つのタグをつけておくんですね。そうすると、1つの商品を『消臭系アイテム』『キャンドル』の両方のリストに簡単に入れることができるというわけです。店頭で、同一の商品をいくつもの棚に並べるのと同じですね」。
ほかにも、色柄やシリーズ別、傘のサイズ別など、カテゴリーだけでは対応できないような柔軟な分類方法が用意されている。ネットショップならではの、新しい商品の提案方法だ。
Movable Type4から加わった機能に「カスタムフィールド」と「条件分岐」がある。
「この2つを組み合わせると、ちょっとした仕掛けが実現できるんです。僕はもともとプログラマではないんですが、簡単に使えるところがいいですね」。
ヌーボーオンラインショッピングのトップページには新着情報の「NEW ITEMs」があるが、ここに表示する商品は、この2つの機能を使ってコントロールしている。カスタムフィールドで新規作成ページにチェックボックスを作っておき、NEW ITEMSに表示したいもののみチェックを入れるようにする。条件分岐でそのチェックを判断し、該当するものを表示すれば、希望する情報だけを自動で載せることができるのだ。
トップページのサイドバーに表示されている「NEW ITEMS」には、Movable Type4の機能が活用されている
「ほかにも、在庫状況に応じたページ表示に使っています」。
在庫がない品は、すばやく在庫切れの表示に変えておけば、ページそのものを非表示にする必要はない。ページ上には関連商品へのリンクもあるため、ユーザーを逃す機会も減るだろう。
「オープン以来、アクセス数も売り上げも順調に伸びています。アクセス数だけ増えても売り上げにつながらないサイトもあるなか、健闘していると思います」。
SEOだけでは、売り上げにつなげるのは難しい。魅力的な商品を揃えると同時に、その見せ方や提案の方法を工夫する必要もあるのだ。Movable Typeは、そのすべてを支えるポテンシャルを秘めている。ショッピングサイトの構築にも適したツールだといえるだろう。
お話を伺った東山さん
事例データ
・Movable Type4.2
・サイトを始めたのは:2008年2月
・始めた理由:ショッピングサイトによる販路の拡大
・制作を担当したのは:イーストヴィレッジLLC
・何か手応えはありましたか:販売網が全国に広がった。