NTTグループの不動産管理会社として、2000年6月に設立されたNTT都市開発ビルサービス株式会社。オフィスビル、マンション等の管理業務(プロパティマネジメント業務)を中心に、オフィス工事や移転ソリューション等を手がける。同社は、全国各拠点を含む全社の社内周知・情報共有を進める目的でウェブ社内掲示板を2013年から運用してきたが、このたびサイトリニューアルに着手、サイト基盤には「Movable Type」をベースにエンタープライズに必須の機能を追加した機能強化版「Movable Type Premium」が採用された。リニューアルの狙いや経緯、リニューアル後の効果などについて、同社 経営企画部長 兼広報室長の高橋範行さん、経営企画部 担当課長の岡 仁一さん、主査 山本 裕子さん、ビルサービス事業本部 首都圏ビル事業部 担当課長の鶴見達夫さんに話を聞いた。
社員一人ひとりへの情報周知や社員間のコミュニケーション活性化が課題
NTT都市開発ビルサービスは、現在、約400名の社員が在籍し、東名阪のほか、札幌から福岡まで全国に拠点、営業所を展開している。高橋さんは、「最近では、2019年8月に開業した『THE BLOSSOM HIBIYA』(ザ ブラッサム 日比谷)が入居するアーバンネット内幸町ビルの管理運営も手がけている」と説明する。
2013年から運用してきた「社内掲示板」は、同社の社内用ポータルサイトとして、全国各拠点を含めた全社の社内周知・情報共有の目的を持つ。
岡さんは「社長メッセージや、社員向けの情報発信、お知らせとして全社の通知事項や各部署の取り組みなどのコンテンツがある」と述べる。サイトはWordPressベースで構築、運用されてきたが、「ここ2~3年は会社統合、組織の増設・改編が繰り返され、組織的な変化が急速に進んだ」ということだ。
「その結果、社内で周知すべき内容の質と量に変化が生じ、社員一人ひとりに対してより丁寧に周知内容を伝えたり、組織をまたがった社員相互間のコミュニケーションをより強化したりする必要性が生まれました」(岡さん)。
そこで、社内掲示板のリニューアルを行うことになった。リニューアルにあたってそれまでの掲示板の課題と、リニューアルのコンセプトがまとめられた。鶴見さんは次のように説明する。
1つめは「コミュニケーション機能の課題」だ。これまで権限を付与されたユーザーのみが投稿、編集できる状態だったものを、広く社員が情報発信できるようにする必要があった。また、コメント機能など、記事に対するフィードバックが得られない課題もあった。
2つめは「情報を周知させる機能の課題」だ。周知事項がきちんと伝わるようデザインやカテゴリー分類、情報の表示件数など、サイト構造を見直す必要があった。
3つめは、「利便性の課題」だ。管理画面の使いやすさ、情報に対する問い合わせの導線、検索機能の強化といった課題だ。
そして、4つめが「ユーザービリティの課題」だ。テキストベースのコンテンツだったため、サムネイル画像などのアイキャッチを設置して見やすさを高めたいという課題だ。
こうした課題を解決し「業務内外で、社員間のコミュニケーションをより活性化させる」「情報の周知が徹底され、各組織から情報発信できる場となる」「業務上必要な情報に容易にアクセスでき、確認できる仕組みを作る」ことがリニューアルの目的となった。
インフラの制約をクリアし、リニューアルの目的に最も合致したのが選定の決め手
CMSを含む開発パートナーの選定は2017年後半から行われた。鶴見さんは「新しいコンセプトの社内掲示板構築に相応しい会社をインターネット検索を含め、候補会社として選定し、競争入札という形で選定した」と説明する。
書類審査による一次選考、プレゼンを経て、予算を含めて総合的に評価したところ、「提案内容、新掲示板の仕様、納期、金額等、すべて満たしている企業は スカイアーク社だった」ということで、2018年3月末にパートナーが決まった。
「課題解決の可能性を検討したところ、スカイアーク社の提案が最もコミュニケーション活性化という目的に適う内容でした。また、導入実績や短納期での構築が可能な点も大きなポイントでした」(鶴見さん)。 また、CMS採用に際しては制約があり、クラウドではなく、同社のデータセンターにある既存のサーバーを使うことが条件だった。こうしたインフラ面の対応や、社内システムへのリンク等に適しているかどうか、また、承認のワークフローなど、複数の部門、担当者が運用可能な仕組みをもっているかといった点で、「Movable Type Premium」が最適との結論を得たのだ。 リニューアルの構築プロジェクトは、2018年4月にスタートした。「とにかくカットオーバーまで時間がない」いう状況で、スカイアークには「採用前の提案から要件定義、短納期での開発、カットオーバー後の既存データの移行など、円滑に対応してもらった」と鶴見さんは振り返る。 デザイン面では、テキストベースだった全掲示板のデザインを刷新し、「TOPのアイキャッチ画像や各記事のサムネイルなど、視認性の高いデザインをスカイアーク社に提案してもらった」という。 また、サイト構造も、見てもらいたい重要なお知らせをサイト上部に配置し、レイアウトも強調するなど、情報の周知を徹底できるよう見直した。 既存データの移行、掲示板の融合、移行を経て、リニューアルは2018年7月にカットオーバーされた。周知がなくても多くの社員に自然と見てもらえるようになった
リニューアル後の導入効果として、岡さんは「コミュニケーション機能の強化、情報発信機能の強化に繫がった」と述べる。
「各部署のメンバーにID、パスワードを付与して、部署ごとに投稿してもらう体制が整ったことで、お知らせはほぼ毎日更新しています。イベントがあるごとに情報が更新されるので、記事へのコメント機能とあいまって、リニューアル前よりコミュニケーションが活性化しました」(岡さん)。
鶴見さんは「社内掲示板は親会社でも見られるため、NTT都市開発の社員から社長メッセージに感想を伝えられたこともあった」と振り返る。
特に、事業所が多岐にわたっているため、ランチ情報や転入者の自己紹介などの独自性の高いコンテンツは「よく見られている傾向がある」という。今後は、「動画などを使った表現方法も検討していきたい」ということだ。
そして、「情報発信機能の強化」というポイントについては、「旧掲示板は、コンテンツに画像が一切ないテキストベースだった。そこでサムネイル画像を活用することで、より注目してほしい情報に興味を持ってもらうことができた」と岡氏は説明する。
こうしたリニューアルの取り組みによって、「リニューアル前は、社内掲示板に公開した記事のURLをメールに貼付して周知するくらい関心が低かった」ものが、「周知がなくても多くの社員に自然と見てもらえるようになった」ということだ。
「トップの情報発信や各組織・部署の取り組み、社員紹介など、幅広い記事の投稿が増え、組織拡大による社員増で課題だった社内コミュニケーションの強化にも貢献している」と鶴見氏は語ってくれた。
さらに見たくなるようなビジュアル、内容の進化を検討していきたい
現在、社内掲示板の運用は岡さん、山本さんがメインで担当している。今後の改善について「記事保存・公開のスピードアップや、掲載画像のサイズ自動調整機能、新規投稿記事の表示改善などを検討していきたい」と岡さんは述べる。
「利用者がどのあたりをよく見ているのか、アクセス解析の結果をよく精査し、さらなる内容の充実を図っていくことが重要だと考えています」(岡さん)
何年も同じような見せ方で情報が掲載されていると、見る側も新鮮さが薄れ、興味を失っていく。「今のコンテンツは、中身は良いと思うが、見せ方を含め、さらに見たくなるようなビジュアル、内容を考えていきたい」ということだ。先述したような動画コンテンツの活用もその一つだという。
社内掲示板を「業務上、必要な情報へのリンク集など、業務をサポートする機能があるとよい」と述べるのが鶴見さんだ。鶴見さんはリニューアルを7月まで担当し、今はビルサービス事業本部に所属している。
「組織改編や異動などが多いので、新しい職場に来た人が、それぞれのオフィスビルのシステムやマニュアルを知らずに戸惑う課題を持っています。業務上必要なマニュアルのリンクを含めて、社内掲示板にくれば必要な情報が集積されているチュートリアルのような役割を果たすとよいと思います」(鶴見さん)
こうした改善、改修にあたって今後、スカイアークに求めることとして、岡さんは「短期間の開発にも関わらず、迅速かつ丁寧に対応してもらい、満足している。今後も当社の実情に応じた、きめ細かいサポートをお願いしたい」と話してくれた。
そして、山本さんは「社内掲示板は、各事業部の知恵袋として、社員みんなが見に行けるような役割を果たしたい。その役割を理解しながら、スカイアークには地道に、スピーディなサポートを期待している」と締めくくってくれた。
ビジネス環境やテクノロジーの変化に追随しながら、今後も求められる社内掲示板の役割を果たしていくために、Movable Type Premium とスカイアーク社は今後も力強いパートナーとなりそうだ。
写真左からNTT都市開発ビルサービスの鶴見さん、高橋さん、岡さん、山本さん、
リニューアルに携わったスカイアークの平栗さん
事例データ
- サイトURL: 社内限定
- 使用した製品: Movable Type Premium(旧MTCMS)
- サイトのオープン: 2018年7月
- リニューアルの目的: コミュニケーション機能の強化、周知すべき情報をわかりやすく伝えるサイト構造の整理、更新のしやすさなどの利便性の向上を目的として。
- どのような手ごたえがありましたか?:組織拡大による社員増で課題だった社内コミュニケーションの強化、情報発信機能の強化につながった。