足立区竹ノ塚にある荻原歯科は、開業以来六十数年、地域に根ざした診療を行っている。同歯科は幅広い患者層に訴求するためのホームページ開設に着手、2011年1月にオープンした。サイトは、「Movable Type」をベースとしたCMSパッケージ「GENOVA CMS」によって構築されている。同歯科の副院長を務める荻原康平さんにお話をお伺いした。
特に若い年齢層の患者に向けた情報発信のツールとして
荻原歯科は、2011年1月のWebサイトオープンまで、インターネットを使った集客は行わず、主に患者からの口コミが中心だったという。「祖父の代から六十数年、地元で診療を続けてきました。ホームページを開設しようと思ったのは、特に若い世代に向けて情報発信したいという思いが強かったからです(荻原さん)」。
サイトの制作は、「最も信頼する先輩の紹介(荻原さん)」により株式会社GENOVAが担当することになる。同社は、「Movable Type」の機能を強化し、WYSIWYG高機能エディタの追加やフォーム機能などを備えたCMSパッケージ「GENOVA CMS」を提供しており、同歯科のサイトもこのパッケージを用いて構築されている。「2010年の夏頃に正式に制作をお願いして、サイト開設が翌1月。正味3ヵ月弱の開発期間で完成していただきました。サイトデザインも、イメージカラーのブルーを基調に、白とグレーでシンプルにまとめていただき、こちらの要望を超える出来栄えで満足しています(荻原さん)」。少ない開発期間でサイトオープンまでこぎつけることができたのも、完成度の高い「GENOVA CMS」のパッケージの強みによるものだろう。
来院のきっかけ作りという「認知」と再診促進という「関係強化」の役割を担う
サイトのコンテンツ内容は、診察内容や医院紹介、治療の流れや料金といった基本的な情報に加え、ブログやTwitter、FacebookなどのSNSを駆使した情報発信も行っている。「サイトとして意識している情報の訴求ポイントは、『口腔外科』『インプラント』『顎関節症』の3点です。外科的治療という当院の強みをアピールしたいと考えました。一方、SNSでは、堅苦しいイメージのある治療内容の情報よりもむしろ、日々の出来事やホッとできるような情報を発信することを心がけています(荻原さん)」。どちらかというとブログを書くのは苦手と語る荻原さんだが、メディアによって書く内容を変え、情報のバランスをとっているようだ。
サイト開設を経て、情報発信のメディアとしてのWebサイトの位置づけは、新規顧客の開拓よりもむしろ、既存の患者との関係強化に重心が移ってきたと荻原さんは語る。「Webを見て来院してくる患者さんは、ネットで検索して、いろいろな医院を転々とする傾向があります。そうした患者さんに、自分にあった治療をしてくれる病院であると認識していただき、定着していただくことが大事だと考えています(荻原さん)」。
来院のきっかけとして、急を要する治療の患者さんと、定期検診の患者さんの割合は大体同じくらいだと語る荻原さん。来院のきっかけ作りという「認知」の役割と、再診促進という「関係強化」の役割を、Webサイトと実際の診療の双方でいかに果たしていくかが大切だと語ってくれた。
荻原康平さん
サイト開設後は、10代から20代の若い女性の患者が増えた
サイトオープンから1年以上を経て、サイト経由と思われる新規患者の数が増えたと荻原さんは語る。「それまで1ヵ月あたり2人程度だったものが、サイト開設後は15人〜20人程度に増えました。全部がサイトの効果によるものかはわかりませんが、確実な効果といえるのは、10代〜20代の若い年代層の女性の患者さんが増えたことですね(荻原さん)」。今後は、来院した患者さんにリピーターとなっていただくための取り組みを継続していきたいという。現在、ブログやTwitterなどへの書き込みは週1回程度のペースで自ら行っているという荻原さん。「GENOVA CMS」により情報更新も容易で、作業負荷は低減されているようだ。
一方、課題については、SEO(検索エンジン最適化)やMEO(マップ検索エンジン最適化)を荻原さんは挙げる。このあたりは、スマートフォン向けのサイト最適化や、もう少し来訪者に親しみを感じさせるデザイン上の処理、情報内容、見せ方の工夫といった施策を、GENOVAと連携しながら進めていきたいとのこと。
最後に、GENOVAに期待することを聞いてみた。「外部からの流入増のための指標として、SEO対策というのは期待したいことの一つです。『認知』と『関係強化』という役割からいえば、定期検診のための案内や、診察予約といった機能面でのWebの可能性といったものを、GENOVAには提案していただきたいですね(荻原さん)」。
歯科治療の要諦は早期発見、早期治療にあり、歯科医には定期検診をはじめとする「コンサル的役割」が求められるそうだ。荻原歯科のネット戦略のコンサル役として、GENOVAがますますその役割を果たしていくことだろう。
荻原さん(写真左)と、サイト構築を担当したGENOVAの吉田正樹さん
- Movable Type、GENOVACMS
- サイトを公開したのは:2011年1月
- はじめた理由:ネット経由での集客ツールとして
- 制作を担当したのは:株式会社GENOVA
- どのような手ごたえがありましたか?:特に若い年齢層の新規受診が増えた