導入事例

デコジャパン株式会社 コーポレートサイト - Movable Type ソフトウェア版 導入事例
岡崎市民会館 公式サイト - Movable Type ソフトウェア版 導入事例
一般社団法人 西東京市伝統文化育成会 公式サイト - MovableType.net 導入事例
画家 小高朋恵 公式サイト - MovableType.net 導入事例
株式会社フラワー不動産 ウェブサイト- Movable Type クラウド版導入事例
浅野肖像画工房 公式サイト - MovableType.net 導入事例
株式会社ヨシダ工業「Glanz(グランツ)」ウェブサイト- Movable Type 導入事例

Prayers from Cosplayers が Movable Type を使う理由

Prayers from Cosplayers様
高負荷の状況でサイトがダウンすることがなかったのは、もちろんお借りしたサーバーのスペックによるところもありますが、やはり、Movable Type による静的ページの生成という仕組みも大きなポイントです。

アニメやゲームなどの登場人物などに扮する「コスプレ」。現在ではコミックマーケットをはじめとする各種イベントでは恒例行事となり、世界に通用するムーブメントの一つだ。また、日本と世界各国のコスプレイヤーの交流などを目的とした「世界コスプレサミット」などのイベントも毎年開催されている。東日本大震災の際、同サミットにかかわった有志のメンバーが集まり、世界中のコスプレイヤーから被災者に向けた励ましのメッセージを届けるサイトを立ち上げたのが「Prayers from Cosplayers」である。世界14カ国語に対応し、1,300人を超えるコスプレイヤーのメッセージが掲載された同サイトは、短期間で構築が可能な点や拡張性の高さ、更新性の高さから「Movable Type」により構築、運営されている。今回のサイト立ち上げについて、世界コスプレサミット運営事務局 最高顧問の道齋忠明さんと、サイト構築を担当した株式会社エスケイワードの沢田圭一さんにお話をお伺いした。

14カ国語に対応した他言語サイトを、わずか3日間でアップ

サイト開設は、コスプレ愛好家から被災地に何か気持ちを届けることはできないだろうかというところから始まった。「地震の翌日に、コスプレ愛好家としてメッセージを届けられないかと考えて、サイトのラフイメージを思いつきました。その場で沢田さんに電話して、大まかなイメージを伝えて、制作してもらったのです(道齋さん)」。「もともと道齋さんとは世界コスプレサミットで知り合いました。お互い、海外に向けて情報発信する立場にあったので、被災地に向けた取り組みは必要だという認識は持っていました。短期間で開設することや、世界中の人に見てもらうために多言語対応が必要になる点などを確認し、サイト設計を始めました(沢田さん)」。

そうして始まったサイトの設計だが、当初、サイト自体はそれほど作り込むことなく、とにかく早く公開することを念頭に置いていたという。「HTMLの手動更新で構わないので、投稿されたコスプレイヤーの写真をこちらできちんと選定して、ちゃんとした写真を掲載できればいいと思っていました。一方、沢田さんの方では、協賛してくださる企業にお声がけをいただき、その結果、『サーバーとシステムはなんとかなりそう』ということで、サイト制作を進め、3日後にはサイト立ち上げに漕ぎつけました(道齋さん)」。「道齋さんの方で投稿に際してのルール整備などをしていただいて、その間にシステムの設計、構築を行いました。今回のサイトは、多言語に対応しなければならなかったので、一つのHTMLソースに対し、数多くのテンプレートが必要という構成でした。ですから、『Movable Type』を使うことは最初から決めていました。MTであれば、それぞれの言語ごとにテンプレートを用意すれば、ナビゲーションなどのデザイン要素を容易に差し替えられます。結果的に3日で立ち上げることができたのはMTのおかげです(沢田さん)」。

かくして、サイトは、道齋さんがコスプレ仲間に呼びかけて撮ってもらった数枚の写真を掲載してオープンした。震災から4日後のことである。「一番に配慮した点は、コスプレの写真です。各自が気ままにお気に入りの写真を送ってもらってもサイトの主旨に合わないので、できる限り、写真の中に日本に向けてのメッセージを盛り込んで欲しかったのです。ですから、投稿のルールとして『ボードを持って、そこに日本に向けたメッセージを書いて欲しい』とお願いしたら、投稿してくれたコスプレイヤーからは、『日本の国旗は意匠がシンプルで非常に書きやすかった』ということで、日の丸をハート型にアレンジしてボードに描いてくれたり、自国の国旗と一緒に写してくれたり、あとは、日の丸を形取ったケーキを作ったり、日の丸が風船だったり、浜辺に文字を書いてくれたりと、いろいろと反応に遊び心があって面白かったです(道齋さん)」。

しかし、公開直後、正式なリリース前にネットで取り上げられることとなり、そこから爆発的なアクセスと投稿が集まるようになったそうだ。「サイトを公開して、2〜3日ほど微調整に充てて落ち着いたところでリリースを発表しようと考えていたのですが、その前にネットメディアに取り上げられまして、それからは1日40万PVくらいのアクセスがありました。高負荷の状況でサイトがダウンすることがなかったのは、もちろんお借りしたサーバーのスペックによるところもありますが、やはり、MTによるページの静的生成も大きなポイントです。ページを動的生成するCMSの場合、最悪、ページが表示されない可能性もあるような状況でした(沢田さん)」。

短期間での構築、多言語対応、ネットワーク負荷への対応など、MTならではの強みが発揮されたようだ。

MTにより、サイト拡張にも柔軟に対応、数万ページ規模のサイト管理もスムーズに

では、サイト構築時に特に力を入れて取り組んだ点はどのあたりにあったのだろうか。沢田さんは語る。「現在のサイトは、公開当初を1とするとバージョン3か4の状態です。最初はとにかく、コスプレイヤーの皆さんからいただいた写真をすぐ掲載して公開するところから始まりました。その後、アジア圏での通信事情や端末所有状況を考え、サイトをスマホに対応し、ナビゲーションメニューの見直し等を行いました。オープン後に必要に応じてカスタマイズしていったのですが、MTは、こうしたサイトの拡張にも柔軟に対応できる仕組みでした(沢田さん)」。

「ある日、仙台のコスプレイヤーの女性が、日本側からありがとうという内容のメッセージを投稿してくれたのですね。そこで、海外用の受付と日本用の受付を分けようということになりました。日本語のページでは、投稿フォームのページの内容が、被災地に向けたメッセージと、被災地からのメッセージを投稿できるようになっています(道齋さん)」。

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サイトに投稿された被災地のコスプレイヤーからのメッセージ

こうした仕組みも、MTのタグの切り替えで容易に実現できたということだ。同サイトは、14言語(13カ国)に対応しているが、登録された1,300人分のページに対し、それぞれの言語分のHTMLが存在している。そのため、管理するページは数万ページにものぼっている。「ページを生成するためのテンプレートは14言語分あります。モバイルについては、デスクトップとHTMLは同一で、アクセスしてきた端末を判別し、CSS側で表示を切り替えています。ページだけでも膨大な数になりそうだったので、サイトの構成はなるべくシンプルに、テンプレートの組み替えで対応できるように設計しました。オープン後に、TOPページへのコンテンツスライダーの設置や、サムネイル表示件数の調整など、大きなリニューアルを2度ほど行いましたが、こうした調整も、MT側の設定でほとんど対応できました(沢田さん)」。

MTの導入により、サイトの拡張も容易に行うことが可能になり、数万ページにものぼる大規模なサイトの管理もスムーズに行えているようだ。

多いときには1日200件の投稿、公開2カ月で1,000人超のエントリーを集める

同サイトは、震災に対してのボランティアという位置づけのため、積極的なプロモーションを行わなかったにもかかわらず、公開当初の1カ月間は100万PV以上のアクセスがあったという。「アクセスは2011年3月から5月頃がピークでした。アクセス解析を見てみると、130カ国〜140カ国で閲覧されていて、日本より海外で閲覧数が多いのも特徴です。メッセージを投稿してくれた人も40カ国を超えており、改めてコスプレの威力を感じます。世界各国からアクセスがあったので、アクセスの波形も今まで見たこともないもので、24時間、絶え間なくアクセスがあるような状況でした(沢田さん)」。

「手書きのボードを持って写真を撮るというのは、それまでコスプレの世界にはなかった発想なのですね。有志のコスプレイヤーが動画を編集してくれたり、自分たちで歌を唄ってYouTubeに動画のアップしてくれたり、サイト公開によってそういう反響が生まれたのが何より嬉しかったです。また、僕は色々な国のコスプレのイベントに行くのですが、どの国のコスプレのイベントに行っても、このサイトはみんな口を揃えて知っていると言ってくれて、それくらい知名度が高かったです(道齋さん)」。「多いときには、サイトに1日200通くらいの投稿がありました。エントリーフォームを送信すると、投稿内容と写真がメールで届きます。それを道齋さんの方で確認して、チェックが済んだものをこちらでMTにアップするという流れです。ある程度、投稿が集まることが予想されたので、設計の段階から運用のことを見越してMTを使って更新性の高い仕組みにしました。その結果、日常的なサイトの運用は、私ともう一人の2名ほどのスタッフで行うことが可能になっています(沢田さん)」。

このように、サイトの更新も、MTにより容易に、スピード感を持って行えているようだ。

サーバー会社の許す限り、サイトは残していきたい

最後に、今回のサイト開設についての総括や今後の展望などについてコメントをいただいた。「サイトは、登録者が1,300人を越えたところでだいぶ落ち着いています。しかし、あまり積極的に動きがない状態が望ましいのかなと考えています。皆さんのご厚意で公開することができたサイトですが、サーバー会社が許してくれる限り、公開し続けられたらいいなと思います(沢田さん)」。

「被災地のコスプレイヤーがこのサイトを見て、励まされたという話を聞いたときは、やってよかったなあと思います。普段の仕事としてWebを作るのと違って、このサイトは純粋にサイト構築、運営に向き合えました。その意味では、楽しいというか、充実したプロジェクトでした。また、2011年の夏にタイで大きな洪水があったとき、このサイトを通じて、日本からメッセージ送ろうというキャンペーンを行いました。横の展開というわけではないですが、今後、世界のどこかでみんなが心配するような出来事があっても、すぐに動ける基盤のようなものはできたのではないかと思っています(道齋さん)」。

今回のプロジェクトは、同じ趣味を持つ世界の人がつながり、サイトを通じて被災地を励ますという意味で、一つの方向性を示すことができたのではないかと、お二人はインタビューを締めくくってくれた。

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写真左から道齋さんと沢田さん

事例データ

  • Movable Type
  • サイトを開設したのは:2011年3月
  • サイト開設の理由:東日本大震災後に、コスプレ愛好家から被災地にメッセージを届けるためのボランティアサイトを開設したい
  • 制作を担当したのは:株式会社エスケイワード
  • どのような手ごたえがありましたか?: サイト制作決定後、わずか3日間でサイトをアップさせ、公開後、半月で100万PVを達成した。世界14カ国語に対応しており、公開から2カ月で、120カ国からの訪問を確認し、投稿されたエントリー数は1,000人を突破した

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