千葉県旭市にあるショッピングセンター「サンモール」では、Lekumo ビジネスブログ を利用してホームページを運営している。同ショッピングセンターを経営する株式会社パシフィカ・モールズの吉元美礼さんに、ホームページの運用方法や実績についてお話をうかがった。
ショッピングセンター「サンモール」のトップページ。画面上部や左側にはサイト内共通のナビゲーションが配置されており、SaaS 型ブログサービスを使って構築されていることを全く意識させない作りになっている。
多くのテナントを抱える地域密着型ショッピングセンターに求められるホームページ
サンモール(正式名称:旭サンモールショッピングセンター)は、千葉県旭市に位置する大規模ショッピングセンターだ。1982年にオープンし、地域密着型の商業施設として親しまれてきたなか、株式会社パシフィカ・モールズが2006年に経営権を取得し、現在にいたっている。
「現在のホームページの形になったのは、2008年です。サンモールシネマ というシネマコンプレックスのオープンにあわせ、ホームページも大幅にリニューアルしました」
リニューアルにあたっては、事前に必要となる機能要件がまとめられたという。
「リニューアルの際に実現したかったのは、サンモールに入っている70店舗以上のテナントそれぞれが個別のページを持てること、携帯電話からの閲覧に対応していること、そして映画の上映スケジュールなどの新着情報が頻繁に更新できることなどでした。また、施設の情報を瞬時に更新する必要があるため、ウェブ専用の人員を配置するのではなく、ウェブの知識がなくとも誰にでも簡単に入力できることが必須でした」
検討の結果、ホームページのコンテンツ管理システム(CMS)としてLekumo ビジネスブログが選ばれた。
「それらをすべて実現できるシステムを検討していたところ、リニューアル作業を依頼した株式会社ジェイ・キャストさんから、わたしたちにとって最適なサービスとして Lekumo ビジネスブログ を紹介していただき、採用することになりました」
映画情報のための専用更新システムを構築
ニュースやイベント情報などでは、標準のブログテーマを応用して運用している。ただし映画情報の場合、上映作品一覧や作品詳細情報など、ページ構成が複雑なうえ、画像や項目なども多くあり、上映スケジュールの更新も頻繁に発生するため、システムに「一工夫」加えたうえで運用している。
制作をおこなった株式会社ジェイ・キャストでは、Movable Type を使ってニュースサイトの「J-CASTニュース」を構築・運営するという実績があり、それを応用して映画情報を簡単に入力できる仕組みを構築した。
「映画情報用に専用のデータベースを別途用意し、専用の入力画面から入力をおこないます。データベースのシステムから Lekumo ビジネスブログ 側にメールで投稿(モブログ)することで、ページが更新される仕組みになっています」
このシステムであれば、ウェブの知識がなくても映画情報の更新がおこなえるという。
「入力作業をおこなう人は、映写などの仕事と兼業なので、業務の合間に更新作業をおこなっています。最初はジェイ・キャストの方に細かくご指導いただいておりましたが、ホームページがオープンしてからは、週1回の上映スケジュール更新に加え、キャンペーン情報などほぼ毎日のように更新しています。うまく稼働するかどうか心配だったのですが、当初の意図通りに2年以上更新が継続しています」
ホームページ運営事務局としてシネマ情報以外のページを更新しているのは2人。
「こちらも、ほかの業務と兼業です。おもに、セールやイベント情報、各ショップからのお知らせなどを更新しています。各テナントが直接ページを更新することも想定に入れていたのですが、やはり一度運営側で集約したほうが内容を確認できるし、テナントの負担にもならないということで、今は情報をいったんメールで事務局へ送ってもらい、形式的な編集をおこなってから、掲載しています」
基本的に公開の判断は現地の事務局に任せられているが、東京にある本社でも随時内容の確認をおこなっている。
「ちょっとした入力ミスや無駄な余白などがあったときにわざわざ現場に連絡をしなくても、本社から Lekumo ビジネスブログの管理画面にログインするだけで修正できるのがいいですね」
これも一般的に「クラウド」ともよばれる SaaS 型サービスならではの恩恵といえる。
携帯電話対応による集客
サンモールが Lekumo ビジネスブログを選んだ理由のひとつに携帯電話への対応がある。
「旭市では携帯文化が強いので、携帯電話対応は欠かせないと認識していました。標準で携帯対応のページも作られるのが、Lekumo ビジネスブログを採用した理由のひとつです」
オープン後の反響はどうだったのだろう。
「実際にオープンしてみたところ、パソコンよりも携帯からのアクセスのほうがおどろくほど多く、PV 比率にして6割〜7割くらいを占めています。より顕著に現れているのがメールマガジンの登録数です。現在登録されている約3,500件のうち、携帯電話のE-メールアドレスからの登録数が96%を占めています」
旭市の人口は約7万人。周辺地域からの来客もあるとはいえ、市の人口のほぼ5%がサンモールのメールマガジンに登録しているというのはかなり高い数値である。
※ サンモールでは専用のシステムを構築し、そこから会員向けのメールマガジン配信をおこなっている
もうひとつ、2010年からは携帯電話を活用する試みとして、フェリカを使ったポイントサービスも開始した。
「館内に設置した専用ポスターに携帯をかざすと、来店ポイントがたまり、さまざまな特典を受けることができます。また、来館者だけにメールでセール情報を流すなどのサービスも将来的におこなっていこうと考えています。フェリカの登録者を見ると、意外と中高年の携帯利用も多いということがわかりました。フェリカの機能も、世代を問わず使われているようです」
ちなみに携帯からのサイト利用で最も使われているのは映画情報の確認だ。どこにいても上映時間がわかるのは確かに便利だし、顧客のちょっとした余暇を映画鑑賞に割り当ててもらうきっかけにもなりそうだ。
実際、携帯ユーザを中心としたメールマガジンによる集客には、かなりの手応えを感じているようだ。
「主にシネマのメールマガジンを、週に1~2回程度の頻度で配信しており、毎月登録者数も伸びています。たとえばマイケル・ジャクソンの映画 This is it の最終上映日に、『本日で最後です』と告知するメールを送ったことがあるのですが、告知効果から非常に多くの方に観にきていただけました。そのときあらためてメールマガジンの効果を実感しました」
これもひとつ「メールマガジン」+「携帯対応ページ」の集客力をあらわすエピソードだといえる。
「いままでスーパーなどの広告の中心は、新聞の折り込みチラシでしたが、新聞の購読率が下がるなか、チラシの(費用にみあう)効果がどれだけあるのかが分かりづらくなっています。そのようななか、メールマガジンから携帯対応ページへ誘導するという告知方法は、新しい宣伝の機会として大いに期待できると思います。もちろん、今までのチラシにも良い点はたくさんありますが、メールマガジンにはほとんど(制作と出稿に)費用がかからないため、ランニングコストの面から見てもメリットは大きいと思います」
他の宣伝手法と比べたときにも、効果は歴然ということだ。
ブログのコメント機能を使って顧客からの意見を収集し共有
ブログの双方向性を利用した機能として、顧客からの意見の受付口がある。「ご意見ボックス」では顧客が意見を書き込むことができ、よくある質問と回答はページ上に公開されている。
「いままでのように紙に書いてご意見をいただく方法はもちろんそのまま残してありますが、ホームページからなら匿名で気楽に投稿できるため、より『生の声』が集められているような気がします。もちろん携帯電話からも利用できるので、館内からその場で書き込まれている方も多いのではないかと思います」
「個別対応はメールでおこなったり、場合によってはお電話番号をうかがって直接お話することもあります。現在はコメント機能をデフォルト非公開設定にして利用していて、Lekumo ビジネスブログの管理画面を見られる社員なら誰でも確認できるため、情報の共有がすばやくできるのもいいところですね」
ここで集めた意見のなかから、たとえば映画への上映リクエストについては実際の興行計画に反映させるなど、経営上の指針として大いに役立てているということである。
SEO 効果を実感
さらにホームページへのアクセス状況を解析してみたところ、パソコンからの流入の多くは、検索エンジン経由が占めていたという。
「全国にはたくさんの同名施設があるのですが、Googleで『サンモール』と検索すると旭サンモールのホームページが1位にヒットしてきます(2010年8月現在)。SEO には期待していたので、効果を実感しています」
インターネット広告には一切コストをかけていないなかで、検索エンジンからの流入が堅調に生み出されるというのは、ホームページを運営しているなかでの大きな PR 資産となっているそうだ。
「いわゆるキーワード広告への出稿をおこなわなくとも、検索エンジンで旭市周辺の商業施設や映画館を探したいという場合には、確実に上位へランクインできています。これも Lekumo ビジネスブログでホームページを構築して良かったところのひとつです」
広く情報を拡散するのではなく、情報を欲している人に対して確実にリーチさせるためにも、SEO への対応は欠かせない要素といえるだろう。
今後の抱負
最後に、現状の課題と今後の抱負についてうかがった。
「一般的にショッピングモールのテナントは入れ替わりが激しいことが多いのですが、サンモールの場合は古くから定着しているテナントが多いということもあり、高い入店率が維持できています。これもひとえに店舗ごとの固定客が多く、各テナントさんのたゆまぬ営業努力によるところが大きいのですが、そこから一歩進んで、時代に即した方法でさらに多くのお客さんをつかむにはどうしたらよいのかをオーナーとして真剣に考え、実践していかなければならないと思っています」
その課題に対して、Lekumo ビジネスブログに期待することとは何だろう。
「特にウェブに関しては技術の進化が早いということもありますし、小規模の各テナントが自力でホームページのシステムを運用するというのは大変な作業です。そこでオーナー側の責務として、効率よくオンラインへ情報発信するための『仕組み』と、負担をかけずに効果のでる『ノウハウ』を提供し、積極的に各テナントの販促活動をサポートいくための『頼れるパートナー』になってほしいと願っています」
歴史ある地域密着型ショッピングセンターのこれからの発展に、Lekumo ビジネスブログで構築したホームページが貢献できているとすれば幸いである。
千葉県旭市にある地域密着型ショッピングセンターのホームページ
事例データ
- Lekumo ビジネスブログ
- サイトを公開したのは: 2008年4月
- はじめた理由: 新施設(シネマコンプレックス)の開設にあわせてホームページをリニューアル。簡単に現場から更新できるシステムを導入するために採用。
- 制作を担当したのは: 外部制作会社