広報ブログ

シックス・アパートの広報より、社内のさまざまなトピックをお届けします。

OpenSocial API対応とSocial Graphについて

シックス・アパートの関です。

10月31日(米国時間)に、米グーグルがSNS向けAPIである「OpenSocial API」を発表しました。あまり報道されていませんが、シックス・アパートもOpenSocial APIの推進企業の1社として名を連ねており、自社のブログ製品をOpenSocial APIに順次対応させていく計画です。

異なるプラットフォームで同じアプリケーションが動く

OpenSocial APIは、異なる複数のSNSやブログで同じアプリケーションを動かすことができるというもので、OpenSocial対応アプリケーションは基本的に OpenSocial対応のSNSやブログで動かすことができるようになります。この「アプリケーション」は、ブログでおなじみの「ブログパーツ」(ブログのサイドバーに埋め込んである、他のサービスと連携して動くモジュール)のようなものです。

ブログに張り付ける「ブログパーツ」との最大の違いは、SNSの持っているネットワークを利用して、人と人が交流するような高度なアプリケーションを作ることができることでしょう。具体的には、次の3種類の情報を利用することができます。一つ目はプロフィール情報で、具体的にはユーザーの名前やニックネームなどのプロフィールに記されている情報。二つ目は友達情報で、具体的には友達のリストになります。そして三つ目がユーザーの活動情報で、「誰と誰が友達になった」とか「誰が●●というアプリケーションを使い始めた」などという情報です。

最近マイクロソフトが2億4000万ドルを出資して話題になったフェースブックが、サードパーティにアプリケーションを開放して、一気にユーザー数や滞在時間を伸ばしたことで、この動きが俄然注目されています。

ソーシャル・グラフでウェブのオープン性を追求

シックス・アパートでは、OpenSocial APIへの参画以前から、この分野について問題提起や具体的な活動を実施しています。例えば今年8月にチーフ・アーキテクトのブラッド・フィッツパトリックが「ソーシャル・グラフについての考察(英文)」を公開しています。ソーシャル・グラフはSNSに比べて上位の概念なので、少しイメージするのが難しいのですが、イメージしやすい例としては、複数の異なるSNS(Social Networking Service)を組み合わせた、ネットワークの集合体のようなものと考えればよいでしょう。ちなみに、ここでいうグラフとは、図や表のことではなく、 (1)点と、(2)点を結ぶ線、の2つからなる概念のことです。簡単に言うとソーシャル・グラフとは、人と人を結ぶ相関図のようなもの、と考えればよいでしょう。

こうした動きの背景には、雨後のタケノコのように登場するさまざまなソーシャル・サービス(ブログやSNS、共有サービスなど)に対して「いちいち新規登録するの面倒。すでに構築した友人ネットワークや自分のプロフィールを再利用したい」と、多くのユーザーが感じていることがあります。ソーシャル・ネットワーキングが「友達」という関係性に主眼をおいたものであるのに対して、ソーシャル・グラフでは、多様な関係性を扱うことができます。分かりやすい例でいうと、例えばSNSは「友達」「家族」「同僚」「同窓生」「製品Aの愛好者」という具合に、人と人の関係性は非常に多様です。例えば、「同窓生」の SNSでは友達として関係を結びたい相手としても、「製品Aの愛好者」のSNSでは関係を結びたくない、というようなことは、考えてみれば当たり前のことです。「友達」「家族」だけで、人と人の関係を定義することはできないからです。

フィッツパトリックが発表した「ソーシャル・グラフに関する考察」では、こうしたソーシャル・グラフ情報を集約するNPOを作り、さまざまなSNS やブログサービスで、データを相互利用できるようにしたらいいのではないか、と提案しています。シックス・アパートでは、こうしたユーザー情報のうち、公開情報のデータを公開するプロジェクト(ソーシャル・グラフを開放します: 英文)を10月にスタートしています。

シックス・アパート製品のOpenSocial API対応については、追ってプレスリリースなどで発表していきます。シックス・アパートは、さまざまな技術をオープンにしていくことで、ウェブを標準プラットフォームとして、より多くのユーザーの方々に利用していただけると信じており、今回のソーシャル・グラフに関するプロジェクトや、OpenSocial API対応が、この流れを後押しするものだと確信しております。

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